未熟児と低体重児・早産児の違い

赤ちゃん小さな赤ちゃんによく使われる「未熟児」 という言葉ですが、実は正式な医学用語ではないことをご存知でしょうか?
このページでは「未熟児」と医学上の言葉である「 低出生体重児」、そして「早産児」 について詳しく解説したいと思います。

未熟児とは

「 未熟児」 の本来の意味は「 身体の機能が未熟な(成熟していない)状態で生まれた赤ちゃん」のことですが、かつて小さく生まれた(2,500g以下)赤ちゃんのことを「未熟児」と呼んでいた時期がありました。
しかし、小さく生まれた赤ちゃんでも身体の機能に問題がなかったり、反対に2,500gを超える赤ちゃんでも身体の機能が未熟であったりすることがあるため、出生体重だけではなく、ママのお腹のなかにいた期間(在胎週数)や妊娠期間に対する発育状況(体重)によって分類されるようになりました。
産婦人科や新生児科、小児科のお医者さんはこれらの分類を目安に赤ちゃんへの対策を考えています。

出生体重による分類

生まれたときの体重による分類では、2500g未満を「低出生体重児」と呼び、さらにそのなかで1500g未満を「極低出生体重児」、1000g未満を「超低出生体重児」といいます。
日本では出生数が減少しているものの、低出生体重児の数は毎年増加しています。全体の出生数に占める低出生体重児の割合は、20年前は出生の5%前後でしたが、現在は9.7%(2007年)にまで増加しており、世界平均の6.8%(経済協力開発機構30カ国)と比べても非常に高い数字です。
これは、不妊治療による双子や3つ子の赤ちゃんが増えたことや、新生児医療の進歩により、超低出生体重児の赤ちゃんも救出できるようになったことが大きな要因として挙げられます。

■出生時の体重による分類

低出生体重児 2,500g未満で産まれた赤ちゃん
極低出生体重児 1,500g未満で産まれた赤ちゃん
超低出生体重児 1,000g未満で産まれた赤ちゃん

低出生体重児の多くは早産(妊娠22週から37週未満)で生まれた赤ちゃんですが、なかには妊娠期間は十分であるにもかかわらず体重の小さい赤ちゃんもいます。
妊娠期間に比べて体重が小さい赤ちゃんは、赤ちゃん自身になんらかの問題を抱えている場合や、ママからの酸素や栄養分を運ぶ胎盤や臍帯の働きが不十分で栄養の蓄えが少ないために小さく生まれたなどの場合があります。

2,500g以下で生まれた赤ちゃん
(「低出生体重児」)
妊娠期間は十分だが小さく生まれた赤ちゃん
早産で生まれた赤ちゃん

在胎週数による分類

もう一つの分類方法として、在胎週数による分類があります。赤ちゃんは、通常、在胎37~42週未満でママのお腹から出てきます。
これよりもお腹の中にいる期間が短いと「早産児」(在胎37週未満)、長いと「過期産児」(在胎42週以上)といいます。
赤ちゃんの体は、ママのお腹の中に40週前後いることで外の世界に出てくる準備が整います。そのため、在胎37週未満で産まれてきた赤ちゃんは、通常体が小さく、体の機能が未熟な場合があります。
日本では「低体重出生児」 と同様、年々増加の傾向にあり、全出生数のうちに占める早産の割合は約5.7%(2009年)と報告されています。

■在胎週数による分類

早産児 在胎37週未満で産まれた赤ちゃん
正期産児 在胎37~42週未満で産まれた赤ちゃん
過期産児 在胎42週以上で産まれた赤ちゃん

早産児のリスク

早産で生まれた赤ちゃんのなかでも35週以降に生まれた赤ちゃんは、比較的、機能も体重も正期産児に近く、特別な医療的処置をする必要がない場合もあります。ほとんどの場合、発達上の心配もありません。
一方、在胎30週未満で生まれた赤ちゃんは、体重も約1500g未満で体の機能も未熟な点が多いため、十分に発達するまでNICU(新生児集中治療施設)などで養育・治療します。
在胎28週未満の超早産児(出生体重が約1000g未満)でも、新生児医療の進歩により、死亡や重度の障害が残る確率は格段に減少しています。
軽度の発達の遅れや運動障害が残る割合も正期産児よりは多くなるものの、大半が正常に発達します。

早産児の大敵、RSウイルス感染症

冬になると毎年流行するかぜなどの感染症ですが、その原因となる数多くのウイルスのなかで乳幼児が最も感染しやすいのがRSウイルスです。
その感染力は、ほとんどの子どもが2歳までに一度はRSウイルスに感染するといわれているほどです。
RSウイルスは大人が感染すると鼻かぜ程度ですみ、赤ちゃんが感染した場合も通常は38~39度の発熱や鼻水、せきなど普通のかぜの症状が出て、8~15日くらいで治ります。
ところが、症状が悪化すると細気管支炎や肺炎など重症化することがあり、さらに呼吸困難などにより入院が必要になる場合があります。
入院が必要となる子どもの大部分は、生後6ヵ月未満の赤ちゃんです。また、早産児は、早く産まれてきた分、ママから受け取る抗体も少なく、また呼吸器の機能が未発達なため、重症化する危険性が高くなります。
生まれつき心臓や呼吸器に病気を持っている赤ちゃんも、同様に注意が必要です。

RSウイルス感染症の重症化を防ぐ注射薬

早産児が特に注意しなければならないRSウイルス。日本では感染後の重症化を防ぐ注射薬が認可されており、重症化しやすい早産児や、呼吸器などに病気を持つ赤ちゃんを対象に投与がおこなわれています。
この注射薬は、RSウイルスが流行する直前から流行が落ち着くまで月1回の注射による投与を継続しておこないます。
RSウイルスは一年中存在しますが、10月ごろから流行がはじまり、4月頃に落ち着くといわれています。この注射薬によってRSウイルスによる入院のリスクは半分以下になります。
投与対象となる早産児は、ぜひ近くの医療機関に問い合わせてみてください。
当サイトではRSウイルス感染症の重症化を防ぐ注射薬(抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体)の投与が可能な近くの病院を検索することができます。

RSウイルス対応施設検索はこちら

■RSウイルス感染症の重症化を防ぐ注射薬(抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体)の
投与対象となる赤ちゃん

お母さんのお腹の中にいた期間が28週以下 RSウイルス流行開始時に生後12ヵ月以下のお子さん
お母さんのお腹の中にいた期間が29~35週 RSウイルス流行開始時に生後6ヵ月以下のお子さん
過去6ヵ月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた RSウイルス流行開始時に生後24ヵ月以下のお子さん
血行動態に異常のある先天性心疾患(CHD)がある RSウイルス流行開始時に生後24ヵ月以下のお子さん

※投与開始時に、上記の条件に当てはまっていれば、シーズン中に月齢条件を超えても健康保険は適用されます。RSウイルスの流行期間中は、継続して注射をうけましょう。
※RSウイルスは、1年中存在しますが、特に10月ごろから流行開始時期といわれています。
※上記の条件に当てはまっていても、医師の診察・診断によっては、注射を投与しない場合があります。まず、医師の指示に従ってください。

RSウイルス感染症の重症化を防ぐ注射薬の投与費用

RSウイルス感染症の重症化を防ぐ注射薬(抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体)の投与費用は体重によって異なります。1回約152,000円×約5~7ヵ月分(RSウイルスの流行期間)かかりますが、投与対象となっているお子さんは健康保険が適用されます。
健康保険が適用されると、2割の自己負担、さらに乳児医療の適用がある場合は、ほとんど無料で注射を受けられます。
ただし、地域によって健康保険制度に差があり、投与時にそのまま保険が適用される場合や、一時的に接種費用の一部を立て替え、2~3ヵ月後に立て替え費用分が戻ってくる場合などがあります。
投与の前に一度、医療機関に問い合わせてみましょう。

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